共創アート(Co-Creation )の事例を紹介。アートが組織の壁をほどき、対話を生む理由
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目次
共創とは?
共創とは、企業だけで価値をつくるのではなく、社員や顧客、地域の方々などが関わりながら、新しい価値を生み出す考え方です。英語では Co-Creation と呼ばれます。
商品開発からまちづくり、組織開発に至るまでさまざまな領域で使われています。誤解されがちなのですが共創は「異分野の人が集まれば成立する」ものではありません。立場の違う人が同じ場にいても、すぐに対等な対話が生まれるとは限らないからです。
上司と部下、取引先との力関係。組織には目に見えない壁がありますよね。「共創企画ですから、自由に意見を出してください」といきなり言われても、人は無意識に場の空気を読みます。
共創に必要なのは人と人のあいだにある壁をやわらげる場づくり。その方法のひとつとして、いま共創アートが注目されているのです。
共創アートとは?

共創アートとは、企業や地域、社員、アーティストが関わりながら、ひとつの作品や空間をつくる取り組みです。
アート制作を社員とアーティストが一体になって参画する共創企画では、完成した作品だけではなく、制作の過程そのものが共創の場になります。
アートには、ひとつの正解がありませんし、アートの知見をもった社員もそう多くありません。ある意味全員が「不得意」な分野ともいえます。そのため、普段の人間関係の垣根を超え、普段の会議では出にくい直感や違和感を言葉にしやすくなります。「なんとなくこの色が近い」「この余白が自分たちらしい」といった感覚的な発言が、組織の本音に触れることもあります。
共創アートは、立場の違う人が、いつもとは違う言葉で話し、自分たちの思いや価値観を目に見える形にしていくプロセスなのです。
NOMAL ART COMPANYで共創アートの需要が増えている理由
NOMAL ART COMPANYでは、近年、共創アートに関する相談が増えています。背景にあるのは、オフィスやイベントにアートを取り入れたいというニーズだけではありません。組織の対話を変えたいという課題です。

部署を越えたコミュニケーションを生みたい。企業理念を社員が自分の言葉で考える機会をつくりたい。周年や移転のタイミングで、会社のこれからを共有したい。地域や学生、社外パートナーと一緒に何かをつくりたい。
こうした場面で、アートは単なる装飾ではなく、対話のきっかけになります。会社の思いを一方的に伝えるのではなく、関わる人たちと一緒に形にしていく手段として選ばれています。
この記事では、NOMAL ART COMPANYが手がけてきたプロジェクトをもとに、共創アートの現場で起きる変化、アートがもたらす役割、実際の事例、導入までのプロセス、よくある質問を紹介します。
現場で起きる共創の化学反応
共創アートの現場で起きる変化は、対話の質が変わることです。

最初から活発な意見が飛び交うわけではありません。むしろ、はじめは慎重な空気があることも多いです。普段の仕事では求められない問いに向き合うことや、自分の感覚を言葉にすることには、少し戸惑いがあります。
けれど、制作が進むにつれて場の空気は変わります。控えめだった発言が具体的になり、誰かの言葉に別の人が反応する。普段は交わらない視点が重なっていく。
アート制作という共通の目的があることで、議論は単なる意見交換ではなくなります。ひとつの形に向かう対話へと変わっていきます。

そこで生まれるのは、単なる一体感ではありません。自分たちは何を大切にしているのか。これからどんな組織でありたいのか。そうした問いに、一人ひとりが自分の言葉で向き合う時間です。
アートは共創プロジェクトに何をもたらすのか
アートがもたらす一番の価値は、場の関係性を変えることです。
会議室では上司と部下であっても、制作の場では同じ壁の前に立つ人同士になります。肩書きや役割が少しだけ遠のき、発言の入口がやわらかくなります。
もうひとつの価値は、言葉になっていない感覚を引き出すことです。仕事の場では、論理的に説明できる意見が優先されがちです。一方で、組織の空気や未来への違和感は、最初からきれいな言葉になっているとは限りません。

NOMALARTCOMPANYの共創プロジェクトではアートカートを使って自分の感覚を言語化
アートの場では、普段の仕事現場とことなり「直感から話しはじめる」ことができます。その言葉が、やがて組織の本音につながります。
ずっと一緒に仕事してきた仲間たちでも、あえて共創アートを取り入れることで違いの感性や実は見ている方向性に違いがあったことを把握できる良いチャンスになります。より強固なチームビルディングとなります。
はじめて一緒に共同プロジェクトをする時に違いの感性の違いを把握するためのキックオフワークショップとして共創アートを取り組むのもおすすめです。
共創アートの実際の事例
NOMAL ART COMPANYでは、企業や行政、教育機関など、さまざまな組織と共創アートのプロジェクトを行ってきました。ここでは、その一部を紹介します。
NEC|有志社員と歩んだ半年間の共創プロジェクト

NECの有志社員の方々とは、半年間にわたる共創プロジェクトに取り組みました。アーティストとの対話を重ねながら、自分たちの会社や働く環境について考え、その言葉をもとにアートとして形にしていく取り組みです。
有志参加した社員が3つのグループにわかれて、新しくなった食堂に3つの壁画を共創企画し、共に描きました。


はじめは慎重だった場も、回を重ねるごとに変わっていきました。普段は交わらない視点が重なり、会社の未来を自分の言葉で語る時間が生まれ、
非常に満足度の高いプロジェクトとして社内外から好評していただきました。
大成建設|論理の中に感性をひらく
大成建設のプロジェクトでは、技術や合理性が重視される環境に、アートという異なる感覚を持ち込みました。

建設やエンジニアリングの現場では、正確さが欠かせません。一方で、これからの空間づくりには、人の感性をどう扱うかという視点も求められます。アートは、普段は表に出にくい感覚をひらく装置になりました。
三井ホーム|ビジョンを目に見える形にする共創アート
三井ホームのプロジェクトでは、企業が目指す未来や大切にしている価値観を、アートによって可視化しました。

理念やビジョンは、言葉だけでは共有しきれないことがあります。

ひとつの絵や空間として立ち上がることで、社員が同じ方向を見るためのよりどころになります。
国土交通省|空間の空気をやわらげる
国土交通省の都市化まちづくり課で行われたプロジェクトでは、社員の方々が共創して内装制作をいたしました。

作品制作に先立ち、省庁職員の皆様とアーティストによる30分程度の共創ワークショップも実施。作品に組み込むための素材づくりを通して、交流を深めました。普段からモノづくりに親しんでいる方や、このワークショップを楽しみにしていた職員様も多く、和やかな雰囲気の中で制作が進みました。
ルネサス エレクトロニクス|学生と共創する15周年プロジェクト
ルネサス エレクトロニクスのプロジェクトでは、未来を担う才能が描く、15周年の壁画プロジェクトが発足。学生アーティストとともに、企業の歴史と未来を一枚の絵に込めました。

「Renesas × Rising Artist Program」と称した公募を全国の美術系大学向けに行いました。全国16校から32名の応募がある中、豊洲オフィスのアーティストとして選ばれたのは、京都精華大学4年生の中村琴梨さんに社内にアートを施工してもらうことに。
4日間の制作中、多くの社員の皆様が制作の様子を見守り、完成後には温かい言葉も。大学という社会から切り離された環境にいるアーティストたちと、会社員の交流はまさに共創だからこそ実現できる企画です。
これからも社員全員でこのアートを共有していくことで、会社のビジョンを脈々と社員の心に刻むきっかけとなることでしょう。
ビズメイツ|全社員で個性が混ざり合う共創体験をつくる
ビズメイツの共創プロジェクトでは、13周年という節目を迎え、同社の社員約110名が参加するアートワークショップが開催されました。主役は、参加者一人ひとり。誰もが“表現者”となって、自分自身と向き合う時間を過ごしました。

このカラフルなパネルは、社員との共同制作でうまれたもの。一人ひとりの個性が作品の中に入り、混ざり合っていく。その過程を社員全員で体験する取り組みです。

多様性を制度として掲げるだけでなく、身体的に感じる機会になりました。
共創アートに取り組むまでのプロセス
共創アートのプロジェクトでは、最初から完成形を決めきる必要はありません。まず大切なのは、目的を整理することです。
周年記念として実施したいのか。オフィス移転に合わせたいのか。社員参加型のワークショップにしたいのか。企業理念を空間に反映したいのか。目的によって、さまざまなご提案が可能になります。
NOMAL ART COMPANYでは、いきなりアーティストの提案をすることはしません。必ず丁寧にヒアリングを行います。会社の背景や課題、実施したい場所、関わる人の範囲を整理します。そのうえで、アーティストの選定や企画設計を進めます。

代表平山が自らヒアリングすることも多いです。
社員がどの段階で関わるのか。ワークショップを行うのか。ライブペイントとして見せるのか。完成後の作品をどこに残すのか。そうした要素を、プロジェクトごとに組み立てます。
制作前には、アーティストとの対話やワークショップを行うこともあります。そこで出てきた言葉や感覚をもとに、作品の方向性を探っていきます。
完成した作品は、空間に残ります。日々の会話のきっかけになり、来訪者に会社らしさを伝えるものにもなります。共創アートの価値は、完成の日で終わるものではありません。
共創アートに関するよくある質問
共創アートは、どのような企業に向いていますか?
組織のコミュニケーションを変えたい企業に向いています。部署間の距離を縮めたい場合や、周年企画を社員参加型にしたい場合、オフィス移転に合わせて理念を空間に反映したい場合に相性があります。
社員全員が絵を描く必要はありますか?
必ずしも全員が描く必要はありません。共創アートにおける参加の形は、制作だけではないからです。ワークショップで言葉を出したり、アーティストとの対話に参加する。描くこと以外での関わり方も共創の一部です。
絵が苦手な社員でも参加できますか?
参加できます。共創アートは、絵の上手さを競うものではありません。大切なのは、感じたことや考えたことを場に出すことです。制作はアーティストが設計するため、絵が苦手な方でも無理なく関われます。
どのくらいの期間が必要ですか?
内容によって異なります。短期間のライブペイントやワークショップであれば、コンパクトに実施できます。社員との対話を重ねる場合は、数か月単位で進めることもあります。
完成した作品はどこに設置できますか?
オフィスの壁面、エントランス、会議室、休憩スペースなどに設置できます。来訪者の目に触れる場所では、企業の姿勢やブランドを伝える役割も担います。
オフィス以外でも実施できますか?
実施できます。商業施設、イベント会場、公共空間、学校、工場、研究施設など、目的に応じてさまざまな場所で展開できます。
相談時には何を準備すればよいですか?
最初から明確な完成イメージがなくても問題ありません。実施したい背景、場所、時期、関わる人数、目的がわかると、企画を考えやすくなります。
AI時代のオフィスにこそ、人間らしい手触りを
AIによって、仕事はこれからさらに効率化されていきます。だからこそ、人が同じ場所に集まる意味は変わっていきます。
ただ効率よく働くためだけなら、同じ空間にいる必要はありません。
共創は、特別な言葉のように聞こえます。けれど本当は、同じ場所にいる人たちのたあいもない雑談やひらめきの共有。人が同じ空間にいるからこそ生まれる何気ない偶然のひらめきから生まれます。
その小さな変化を、アートによってつくり、アートによって残していく。アートができるのは、きっとそのあたりなのだと思います。
お気軽にお問い合わせください。

