2026年〜2027年オフィスアートのトレンドとは? 100社以上のワークプレイスにアート導入を実施した実例を元に解説。共創・エンゲージメント・ブランディングに効果が期待

2026.10.18
OFFICE

空前絶後のオフィス移転全盛期の現在。特に東京には企業が集中し、2025年12月末時点で区によっては潜在空室率5%以下という激戦区になっています。

 

このことが示すように、大きくオフィス業界を揺るがせたコロナ期・及びポストコロナ期も完全に終了。リモートから出社対応に完全に戻した会社や、拠点を統合させる会社も多く、席数を増やしてのオフィス移転が増えています。

 

その中で弊社が関わるオフィス移転時のオフィスアート制作も、コロナ後から右肩上がりに件数が伸びてきていると同時に、オフィスアートに期待されることも変化してきています。

NECの食堂のある壁には壁画がある。

ここでは7年以上オフィスアートのリーディングカンパニーとしてプロジェクトに取り組んでいるNOMAL ART COMPANY代表の平山美聡が、今オフィスに求められているもの・そしてそこにオフィスアートがどう寄与できるか、具体事例を元に解説します。

 

【プロフィール】

平山美聡:NOMAL ART COMPANY代表

1988年東京都生まれ。慶応義塾大学環境情報学部卒。資生堂に入社後、営業や広報担当を経て、大学時代の友人の松本祥太郎氏とともにNOMALを設立。2016年にアート通販を開始。18年オフィスの壁画制作事業をスタート。壁画制作などアート事業の名称は「NOMAL ART COMPANY」。

 

 

オフィス・ワークプレイスに求められる4つの要素

働くことに集中できる環境や、リモートブースなど、オフィスが当たり前に供えておかなければならない機能を別にすると、今オフィスに求められる付加価値は以下のように分類できます。

 

①コミュニケーション創出の場であるか

リモートでは叶わない、社員同士が交流したり議論したりする中で、価値創出できるコミュニケーションハブの機能

 

②社員のウェルビーイングを叶える場であるか

リモートではなく出社を選択させる理由として、「家にいるより居心地が良い」と思わせ、働くモチベーションや帰属意識を高めることができるかどうか

 

③自社ブランドが表現されているか

その空間にいるだけで自社らしさを感じることが出来、それがエンゲージメントを高めたり、感性の合う人材確保に寄与しているか

 

④社員の発想力をサポートできる空間であるか

人間らしい柔軟な発想力を羽ばたかせることができ、自分らしく働ける空間であるかどうか

 

特に④ですが、数年の世の中の大きなトレンドとして、AIとの共創は避けては通れません。

データ整理や分析など「明確なルールやパターン」がある仕事はAIに置き換え可能ですが、人の発想起点で世の中への問題提起を投げかける「新規事業開発」の領域はどの企業も重要視しているため、社員1人1人が持つクリエイティビティを発揮できるかどうかも大事なオフィスの要素となります。

 

2025年〜2026年までのオフィスアートレビュー

2026〜2027年のトレンドに入る前に、これまでのオフィスアートについて簡単に解説いたします。

弊社が手がけた案件だけで比較してもオフィスにおけるアート導入は、2024年と比べ2025年は105%増、コロナ直後の2021年と比べると270%となっていて需要は伸び続けています。

 

中でもオフィスの壁面を活用でき、場所をとらずにインパクトを演出できる「壁画制作」はアーティストがその場で0から制作するのが特徴。

制作段階で社員を巻き込むなどコミュニケーションを生みながらも、結果として企業のブランドをアートとして表現できるとして、引き続き人気を集めています。


コミュニケーションを活性化するオフィスアートの事例の写真

さらに、クライアント有志社員を集めてプロジェクト化し、何回も社員及びアーティストとワークショップをしながらアート導入を試みる「共創アートプロジェクト」は2024年、2025年とニーズが増えてきています。

 

導入事例の一つとして、みずほリース株式会社(共同企画:三井デザインテック株式会社)への壁画導入では、「自発的・自律的に行動できる社員を増やす」「メンバー同士の共創を促す」ことを目的に、アーティスト選定からデザイン決定まで全7回のワークショップをワーカー主導で実施。最終的には、社員様265名が参加してオフィス内に壁画を制作致しました。

みずほリースの社員WSの様子

プロジェクト後のアンケートでは、ワークショップ参加者全員が「有意義だった」と回答。オフィスや会社への愛着については80%以上に効果がみられたほか、「アーティストとの共創が自分の仕事に良い影響を与えたか」という問いに対しても、80%以上が「良い影響があった」と回答しました。

みずほリースの社員の共創アートプロジェクト終了後の反応

 

共創アートプロジェクトのメリットはいくつかありますが、代表的なものは「表面的ではない社員間の共創につながりやすいこと」。社内の多くのプロジェクトと比較し、アートには正解がないため、プロジェクト内の発言における心理的安全性が高くなります。

 

だからこそメンバー同士は自分がジャッジされると恐れることなく、素直に自分の意見や感性を表出でき、それこそが自由に共創できる組織作りに効率よく繋がっていくと考えられます。



2026年〜2027年のオフィスアートトレンドについて

引き続き件数は右肩上がりに伸びながらも、オフィスアートへ期待するものも少しずつ変わってきた2025年。2027年からは大きく分けてオフィスアートは3つのアートの導入型に分かれると予測されます。

 

「何のためにアートを導入するのか」を思い浮かべ、当初の目的から軸足をぶらさないことが最も大切です。以下を参考に、あなたにマッチするアート導入の形を探してみてください。

 

01 | ワークショップ主体型

概要:社員が手を動かし、空間をつくる

目的:社員感の共創・巻き込み・帰属意識の醸成

弊社のようなキュレーション会社がワークショップをデザインし、社員自らがアートを制作するスタイル。アーティストやファシリテーターは場と体験を設計しますが、作品の主役は社員です。「自分たちでつくった」という感覚が、オフィスへの愛着や組織への帰属意識を高めます。

 

得られる効果としてエンゲージメントやコミュニケーションの向上、比較的大多数の社員を巻き込める点があります。

 

注意すべきポイントとしては、感性した見た目のクオリティが落ちすぎないように、うまくワークショップ設計をする必要があります。

 

事例:パーソルキャリアパーソルキャリア 壁画

 

 

02 | コラボレーション型(共創アートプロジェクト)

概要:アーティストと社員が、共につくる

目的:社員感の共創・巻き込み・アート思考

アーティストのクリエイティビティを軸に据えながら、社員との対話や交流がアートに影響を与えていくスタイル。完成までのプロセス自体が、社員にとっての体験となります。制作を通じて組織の内側にある言葉にしにくいカルチャーや価値観が、作品に宿っていきます。

 

得られる効果として、エンゲージメント、コミュニケーション、アート思考、共創、とバランス良い効果が期待できます。

注意すべきポイントとしては、社員様のキャラクターにあったアーティストのアサインが重要となります。

 

事例:NEC / みずほリースみずほリース株式会社の29階のアート右サイド

 

 

03 | コミッション型

概要:アーティストが、企業の世界観を表現する

目的:ブランディング・エンゲージメント

ワークショップや社員参加のプロセスを持たず、アーティストが企業のビジョンやブランドを深く理解した上で作品を制作・納品するスタイル。空間そのものが企業のメッセージを体現し、訪れる人に対して強い印象を残します。

 

得られる効果としては純度の高いアートによるブランディングにより、場のクラスアップが望めます。

注意すべきポイントは、資産としてのアートになる可能性があるので目利きが必要な点です。

 

事例:株式会社ベイカレント・コンサルティング株式会社ベイカレント・コンサルティング
のエントランスのJUNINOUEのアート

 

 

 

最後に・アートプロジェクトを実施する上で

 

いかがでしたでしょうか?

机や椅子のように機能はないけれども、オフィスの中の文化資産として多彩な効果を発揮するオフィスアート。

実は、海外ではオフィスアート自体はスタンダードですが、通常はアーティストが作ったアート作品を購入する導入形態が多く、アーティストと共創し、ワークショップしながらの導入は日本独特でもあります。

 

是非、アーティストとの交流も楽しんでいただければと考えていますが、アートプロジェクトを実施するにあたり大事なポイントは以下の通りです。

 

・目的を整理し確定すること

上記のケーススタディで上げた通り、アートの導入にはいくつかの型がありますが、それぞれメリット・デメリットがあり、全部採りをすると目的がぼやけてしまいます。弊社などエージェントに問い合わせ、他社の事例を聴きながら目的を整理していくことをおすすめします。

 

・優先順位を上げて取り組むこと

「アートはおまけだから」といったように、空間の中で後回しにしてしまうと、せっかくのアートのパワーが半減してしまいます。特に社員を巻き込みたい場合は、熱量高くしっかり関与してもらうことが大事なことになります。

 

・アートはデザインではないということを踏まえ、楽しむこと

クライアントの要望を聞き整えるデザインと違い、アートはアーティストの考え方やスタンスに樹立するクリエイティブです。もちろん要望を聞きながら制作をしますが、アーティストのスタンスや考え方を尊重し、楽しんでいただければと思います。

 

いかがでしたか?

弊社もそうですが、エージェントによっては見積もりやアーティスト提案は無料で提出するところが多くあります。まずは色々と問い合わせた上で、御社のキャラクターにマッチするエージェント会社を見つけて、楽しくアート導入をしてくださいね。

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