次のトレンドをつくるアート系スタートアップ 12選【2026年版】

2025.12.22
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OFFICE

ここ数年、「オフィスにアートを導入したい」「アート思考研修を行いたい」という相談が確実に増えています。

一方で、「アート系のスタートアップの全体像がいまいちわからない」「どの企業が何をしているのかと、何が依頼できるのかの説明がわかりにくい」という声も少なくありません。

この記事では、いま企業×アートが注目される背景を簡潔に触れたうえで、国内で次のアートトレンドをつくりつつあるスタートアップ11社を、いくつかの切り口から整理しています。パートナー候補のリストアップに使える「地図」として、手元に置いていただけたら幸いです。

 


1. 企業×アート 次のトレンドをつくる11のスタートアップ【2025年版最新版】

ここでは、企業×アートのトレンドを動かす11社を取り上げます。

2-1〜2-5は「マーケット基盤」、2-6〜2-9は「空間・体験」、2-10〜2-11は「コミュニティ・メディア」として読むと整理しやすくなります。


2-1. NOMAL ART COMPANY(ノーマルアートカンパニー)|オフィス×壁画アート&アート思考ワークショップ

アートでトレンドをつくる企業の事例

【所在地・概要】

会社名:株式会社NOMAL(NOMAL ART COMPANY)

所在地:東京都中野区中野3丁目1-6 N1ビル2F

設立:2015年

代表者:松本 祥太郎(代表取締役) 

【主なサービス】

NOMAL ART COMPANYは、オフィスや公共施設、商業施設などに向けた壁画制作・オフィスアートを中心に、壁画広告やアート思考ワークショップまで一気通貫で提供するアートベンチャーです。全国300名以上のアーティストネットワークを活かし、企業ごとに異なるビジョンやカルチャーを壁画にして手がけるアートカンパニーです。これまでに大手メーカー、IT企業、鉄道会社、大学、自治体など100社を超えるウォールアートを手がけており、オフィス移転やリブランディング時の「象徴的な一枚」を任されるケースが増えています。

【モットー・思想】

タグライン「HELLO ART!」には、誰かと初めて出会うときの「こんにちは」のように、ビジネスパーソンにとっての“最初のアート体験”をつくるという意思が示されています。オフィス×壁画事業を2018年から継続してきた背景には、「非日常だったアートを、働く日常の中に当たり前のものとして浸透させたい」という問題意識があり、駅構内のプロジェクトやライブペイント型の広告など、ビジネスとパブリックの境界をまたぐ実験的な取り組みも積極的に行っています。

【トレンドポイント】

NOMAL ART COMPANYは、企業のオフィス空間における「ミューラル(壁画)×共創」の文脈を牽引しているプレイヤーのひとつです。人的資本経営やウェルビーイングへの関心が高まるなか、単にデザインされた内装ではなく、「社員参加型のアート制作」や「アート思考ワークショップとセットになった壁画導入」を提供することで、採用・オンボーディング・エンゲージメント施策としてアートを位置づけ直しています。 また、駅や商店街を舞台にした大型の壁画広告や鉄道会社との共同プロジェクトなど、都市の景観づくりと広告を統合する試みも増えており、企業のブランディングと地域連携を両立させる「アート トレンド」の象徴的な事例になりつつあります。これからオフィスアートを検討する企業にとって、「空間づくり」「人材育成」「まちとの接点」を一体で構想できるパートナーとしてチェックしておきたい存在です。

2-2. ArtX(アートエックス)|ギャラリー向けクラウド&オークション基盤

トレンドをつくるアートの企業アートエックス

【所在地・概要】

会社名:ArtX株式会社

所在地:東京都渋谷区(本社)

設立:2010年

代表者:播口 友紀(代表取締役)

 

【主なサービス】

ギャラリー界隈で「事務作業が一気に楽になった」と話題なのが、作品・顧客・売上を一元管理できるArtXCloudです。複数ツールに分散していた展覧会準備の情報をひとつにまとめ、ラベルやカタログの作成も数分で完了する設計になっています。実際に導入したギャラリーでは、「5つのツールを1つに集約し、書類作成が30分から3分になった」といった効果も報告されています。

 

【モットー・思想】

ArtXは「アートマーケットのインフラをアップデートする」ことを掲げ、華やかな表舞台ではなく“裏側の泥臭い業務”にテクノロジーを投下しています。代表インタビューや導入事例を見ると、作家やキュレーターの創造的な時間を増やすことを最優先にし、「事務・管理の摩擦をどこまで減らせるか」をひたすら突き詰めている姿勢が読み取れます。

 

【トレンドポイント】

アート業界版の「基幹システム/SaaS」をつくっているのがArtXです。人的資本やアセットとしてアートを扱う企業が増えるなか、作品や顧客情報をきちんと管理できることは、将来の再評価・売却・寄贈の前提条件になります。バックオフィスDXの波がアート領域にも及ぶ中で、ArtXは“業界標準の一候補”として2026年前後の動きが注目される存在と言えます。


2-3. TODOROKI(ART Scènes)|アートフェアのオンライン化とマーケットDX

アートのトレンドをつくる企業アートシーンのサイト

【所在地・概要】

会社名:株式会社TODOROKI

所在地:東京都内(本社)

設立:2010年

代表者:井上 雅也

 

【主なサービス】

都内のアートフェアに行くと、「オンライン会場はART Scènesで」という案内を見かけることが増えました。ART Scènesは、ギャラリーやフェアが出展作品をオンライン公開し、会期中・会期後も継続的に販売できる場を提供しています。リアルな来場者だけでなく、遠方のコレクターや企業担当者が後から作品をチェックできる点が評価され、採用フェアが拡大しています。

 

【モットー・思想】

コーポレートサイトでは「アートの価値を翻訳する」という言葉が掲げられており、わかりにくさをほぐして市場と結びつける役割を自認しています。また、経産省とForbes JAPANが共催する「ART & BUSINESS AWARD 2025」でニューアートビジネス部門のファイナリストに選出されるなど、「アートを起点に新しいビジネスモデルをつくる企業」としても評価されています。

 

【トレンドポイント】

大型フェアだけに頼らず、オンラインでアートを“常時開場”させておく流れは、コロナ以降のマーケット トレンドの一つです。TODOROKIは、フェア・ギャラリー・コレクターの三者をつなぎ、物理イベント中心だった販売モデルをアップデートするポジションにいます。企業側から見れば、「どこのフェアに行けばいいか分からない」という壁を下げる、入り口の一つになり得ます。


2-4. TRiCERA(トライセラ)|グローバルオンラインギャラリー

アートのトレンド企業トライセラのサイト

【所在地・概要】

会社名:TRiCERA Inc.(トライセラ)

所在地:東京都内(本社)

設立:2010年

代表者:中村 翔(CEO)

 

【主なサービス】
「海外作家の作品もオンラインでまとめて見たい」と考えると、一度は候補に上がるのがTRiCERA ARTです。若手から中堅までのアーティストが絵画・写真・彫刻などを出品し、世界中の購入者がオンラインで作品を購入できます。近年は、コレクターが保有作品を再出品できるリセール機能も追加され、一次販売だけでなく二次流通までカバーし始めています。

 

【モットー・思想】
「創造力に国境なんてない」というビジョンのもと、海外売上比率6割超えという数字が示すように、最初からグローバル市場で戦う前提で組み立てられたサービスです。創業者のインタビューでも、「日本発のスタートアップが、世界中の無名アーティストをつなぐ基盤になる」という野心が繰り返し語られています。

 

【トレンドポイント】
アートを「投資対象」として見る層の拡大とともに、二次流通や越境ECの整備は業界全体のテーマになっています。TRiCERAは、一次・二次をまたぐグローバルマーケットを構築することで、「どの国のどの作家の作品でも比較検討できる」状況をつくりつつあります。企業にとっては、海外拠点と共通のアートコレクションを持ちたいときの候補になり得るプレイヤーです。


2-5. Startbahn(スタートバーン)|アートのためのブロックチェーン基盤

最新のアートのトレンドをつくる企業 スタートバーン

【所在地・概要】
会社名:スタートバーン株式会社(Startbahn, Inc.)
所在地:東京都文京区(本社)
設立:2014年
代表者:代表取締役CEO 藤城 将

 

【主なサービス】
Startrailは、作品の真贋や所有者の変遷、展示・売買履歴などをブロックチェーン上に記録し、美術館・ギャラリー・EC・企業コレクションなどが共通のインフラとして利用できる仕組みです。NFT証明書の発行やAPI連携も提供しており、既存のECやギャラリーシステムに「来歴の裏側」を組み込むことができます。 

 

【モットー・思想】
社内インタビューでは「アーティストの意思を100年後まで残す」というフレーズが繰り返し登場し、短期の売買よりも“長い時間軸で見たときの公正さ”に軸足が置かれています。また、創業者の施井泰平氏は「テクノロジーは人間の価値観を揺るがし、アートを変えていく」と語り、Web3時代におけるアートの所有・鑑賞のあり方そのものを更新しようとしています。

 

【トレンドポイント】
高額なアート作品だけでなく、デジタルアートやNFT、IPなど“誰がいつ何を持っていたか”が重要になる領域では、来歴情報の信頼性が価値の一部になります。Startbahnは、そうした「アートとIPのインフラ層」を担うことで、将来の二次流通や評価の透明性を支える存在です。企業がアートをバランスシート上の資産として扱う際、Startrailのような基盤は避けて通れないテーマになりつつあります。


2-6. Clarus(クラルス)|AI×ブロックチェーンによるデジタル証明書

AI×ブロックチェーン、アートの新たなトレンドをつくるスタートアップのロゴマーク

【所在地・概要】
会社名:株式会社clarus(clarus inc.)
所在地:京都府京都市左京区孫橋町23 SAMURAIビル2階
設立:2022年
代表者:代表取締役 東原 達矢

 

【主なサービス】
ギャラリーやブランドが作品・商品の画像データを登録すると、ブロックチェーン上に改ざん困難な証明書が発行され、所有者の変更や相続・再販時にも真贋確認がしやすくなる仕組みです。AIが登録画像を参照し、後から持ち込まれた品との一致を判定するため、「同じシリアルだが中身がすり替わっている」といったリスクを抑える狙いがあります。

 

【モットー・思想】
「紙の証明書に頼らない本物証明」を掲げ、特許取得技術を軸に自社サービスだけでなく企業との技術連携にも積極的です。美術品に限らず、高級時計やワインなど多様なコレクションに応用できる点に重心があり、「アートに閉じない真贋インフラ」としてポジションを取りに行っている印象です。

 

【トレンドポイント】
高額コレクション市場全体で「偽物リスクをどう下げるか」は共通のテーマであり、アートも例外ではありません。ClarusはAI画像認識とブロックチェーンを組み合わせることで、「現物/デジタル/二次流通」が混在する時代の真贋基盤を狙っています。企業コレクションだけでなく、ラグジュアリー事業やNFTプロダクトを持つ企業にとっても、今後の連携可能性が高いプレイヤーです。


ここまでの5社は、アート市場のデジタル化・透明化・効率化を進める「マーケット基盤」のプレイヤーです。企業がアートを導入する際の「どこから買うか」「どう管理するか」という課題に対し、このレイヤーが裏側で支えています。


2-7. ACTUAL(アクチュアル)|360°VR・展覧会アーカイブ

アートのトレンドをつくる次世代企業ハックタグ

 

【所在地・概要】
会社名:アクチュアル株式会社(ACTUAL Inc.)
所在地:京都府京都市中京区両替町通御池上ル龍池町449-1 エムズ烏丸御池 7F
設立:2018年
代表者:代表取締役 辻 勇樹

 

【主なサービス】
コロナ禍以降、「展覧会をVRで見た」という体験でACTUALの名前を知った人も多いはずです。ART360°は、展覧会空間を360°動画として記録し、オンライン上で自由に歩き回るように鑑賞できるプロジェクトで、京都のアートスペースや美術館と連携しながらアーカイブを蓄積しています。近年は、美術教育や学校向けプログラムへの応用も進んでいます。

 

【モットー・思想】
ACTUALは「現実とバーチャルが共存する世界」をテーマに、現場での“手触りのある体験”と、そこから派生するバーチャル体験の両方をどう設計するかにこだわっています。単なるデジタル複製ではなく、「未来の鑑賞者に体験の痕跡を残す」というアーカイブ的な視点が強く、展覧会の記録文化そのものを変えていこうとするスタンスが見て取れます。

 

【トレンドポイント】
物理空間への出社が限定される一方、企業ミュージアムや社内展示への投資は続いており、「リモートでも体験を共有する」ニーズは高まっています。ACTUALのような360°アーカイブは、オフラインで完結していたアート体験を、部門や拠点を越えて共有可能なアセットに変える技術です。企業の人的資本やブランドストーリーをアーカイブするうえでも、近い将来重要度が増していく領域でしょう。


2-8. Raptors / GAAAT(ラプターズ/ガート)|2.5次元アートとXRインスタレーション

アートのトレンドををつくる企業 GAAAT

【所在地・概要】
会社名:株式会社Raptors(GAAAT運営会社)
所在地:東京都港区芝4丁目7番6号 芝ビルディング704
設立:2021年
代表者:代表取締役 徳橋 佑輔

 

【主なサービス】
ホテルのロビーや商業施設で、メタルの層が重なった立体的なアートを見かけたら、それはGAAATかもしれません。オリジナルやIPコラボのデジタル作品を最大32層に分割し、金属キャンバス上で立体的に再構成する「Metal Canvas Art」に加え、NFCチップを通じた限定コンテンツ配信やAR体験など、フィジカルとデジタルを連動させた展示を行っています。『攻殻機動隊』とのコラボ展示やホテルチェーンとの協業も進行中です。

 

【モットー・思想】
ブランドサイトには「Art & Technologyで新しい鑑賞体験をつくる」と明記されており、NFTやデジタルアートを“スマホの中だけに閉じ込めない”ことが大きなテーマになっています。メタルキャンバスにすることで半永久的に保存できる点や、旅先のホテルで偶然作品と出会える構造づくりには、「デジタル世代のアートとの付き合い方」を再設計したいという意図が見えます。

 

【トレンドポイント】
ゲーム・アニメ・IPコンテンツを軸にした世界観づくりは、エンタメ業界の大きなトレンドですが、Raptors / GAAATはその文脈をアートと空間に持ち込んでいます。企業にとっては、「自社IPやブランドストーリーを空間インスタレーションとして展開する」際の具体的な選択肢となり、ファンベースとオフィス/店舗の体験をつなぐ役割が期待できます。


2-9. HACKK TAG(ハックタグ)|アーティスト支援/配信型デジタルギャラリー

アートのトレンドをつくる次世代企業ハックタグ

 

【所在地・概要】
会社名:株式会社IDEABLE WORKS(サービス名:HACKK TAG)
所在地:東京都渋谷区(本社) 
設立:2010年
代表者:寺本大修

【主なサービス】
「駅のデジタルサイネージに知らないアーティストの作品が表示されていた」という体験の裏側に、HACKK TAGがいるケースが増えています。専用デバイス「2.5GALLERY」に高精細な作品データを配信し、ホテルやオフィス、商業施設の壁面を入れ替え可能なギャラリーにする仕組みです。アーティストはオンラインでコンテストや企画展に応募し、全国の設置拠点に作品を届けることができます。

 

【モットー・思想】
プレスリリースでは「アマチュアからプロまで、すべてのアーティストの表現機会を最大化する」「地域や企業と一体となったボーダレスな壁面ギャラリーを社会インフラにする」というビジョンが明確に語られています。単にサイネージ枠を売るのではなく、「アートが街の経済循環に関わる装置になる」ことを目指して資金調達や都市圏展開を進めている点が特徴です。

 

【トレンドポイント】
デジタルサイネージは広告だけでなく、「街や企業のカルチャーを映すキャンバス」として活用され始めています。HACKK TAGは、その文脈のなかでアート トレンドを空間に落とし込むプレイヤーであり、企業にとっては「ビルや店舗の既存サイネージを、アートと情報発信の両方に使う」ためのパートナーになり得ます。


2-10. めい(KAGAN HOTEL ほか)|アートホテルとクリエイティブ不動産

アートのトレンドをつくる企業株式会社めいのプロジェクトの一部

【所在地・概要】
会社名:株式会社めい
所在地:京都府京都市下京区朱雀宝蔵町99 KAGAN HOTEL内
設立:2018年
代表者:代表取締役 日下部 淑世

 

【主なサービス】
アートホテルの特集記事やSNSで、巨大なアートが並ぶKAGAN HOTELの写真を見たことがある人も多いかもしれません。KAGAN HOTELは、若手アーティストが共同生活しながら制作できるアトリエ兼レジデンスと、一般の旅行者が泊まるホテル機能を同居させた施設です。宿泊者は客室や共用部でアートと出会い、作品購入や作家との対話も楽しめるようになっています。

 

【モットー・思想】
創業者インタビューでは、「ホテルを“運動”として機能させる」「土地の文脈を読み解き、アートのある暮らしの土壌をつくる」といった言葉が強調されています。不動産を単なる箱としてではなく、アーティストの制作・生活・仕事が交差する場として再定義し、その周りに人と経済の流れをつくることに重心が置かれています。

 

【トレンドポイント】
ワーケーションやリトリート、研修合宿など「滞在を通じてカルチャーを体験する」ニーズは、企業側でも高まりつつあります。めいのプロジェクトは、不動産×アート×コミュニティの組み合わせでそのニーズに応えており、社員寮や研修施設のリノベーションを検討する企業にとって、参考にしやすい先行事例と言えます。


2-11. KAMADO(カマド)|アートメディア+体験ログSNS

アートのトレンドをつくる企業KAMADO

【所在地・概要】
会社名:株式会社KAMADO(KAMADO Inc.)
所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目10-8
設立:2020年
代表者:代表取締役社長 柿内 奈緒美

 

【主なサービス】
現代アートや工芸の記事をネットで追いかけていると、KAMADOの特集に辿り着くことがよくあります。ウェブマガジンとして作家や展示を丁寧に紹介する一方で、「KMMC CLUB」という会員サービスでは、展覧会に行った記録(ア活)を投稿・蓄積し、ポイントと引き換えにチケットなどと交換できる仕組みを提供しています。オンラインの記事と、オフラインの鑑賞体験をセットで設計しているのが特徴です。

 

【モットー・思想】
プロジェクト紹介では、「アートがライフスタイルになるには?」という問いを掲げ、日本人にとってハードルが高く感じられがちな現代アートを、日常目線で解きほぐすことを目指しています。さらに、web3とアートを組み合わせたコミュニティづくりを進め、「アート・文化の経済循環になる仕組み」を構想している点もユニークです。

 

【トレンドポイント】
「情報としてアートを知る」だけでなく、「自分の体験としてログを残す」動きは、音楽やマンガの世界ではすでに当たり前になっています。KAMADOは、その文脈をアート領域に持ち込み、メディアとコミュニティを横断するポジションを取りに行っているプレイヤーです。企業のオウンドメディアや社内カルチャー発信とも親和性が高く、鑑賞ログの仕組みは社内コミュニティ設計のヒントにもなります。


2-12. The Chain Museum(ArtSticker)|アートEC&コミュニティ

アートのトレンドをつくる企業チェーンミュージアム

 

【所在地・概要】
会社名:株式会社The Chain Museum(The Chain Museum Co., Ltd.)
所在地:東京都渋谷区猿楽町17-10 代官山アートビレッジ3階
設立:2018年
代表者:代表取締役 遠山 正道

【主なサービス】
言わずと知れたスープストックトーキョーの経営者、遠山氏が開始したアートプロジェクト。近年、展覧会の会場で「ArtStickerでこの展示をフォローできます」と案内された経験がある人も多いでしょう。ArtStickerは、展覧会情報のチェック、作品の購入、アーティストへの「スティッカー(投げ銭)」などが一つのアプリで完結するプラットフォームで、20万人以上のアートファンが利用しています。鑑賞ログを残しつつ、気に入った作家を直接支援できる仕組みが特徴です。

 

【モットー・思想】
サービス紹介では、「アート鑑賞の一連の体験をつなぐ」「気付きのトリガーを世界中に伝播させるために、アーティストと鑑賞者の新しい関係性をつくる」といった言葉が使われています。ギャラリープロデュースや空間コーディネーションも手がけており、単なるアプリ提供にとどまらず、リアルな場づくりとセットで“新しい鑑賞体験のフォーマット”をつくろうとしている点に、経営の熱量が注がれています。

 

【トレンドポイント】
アート業界全体で、「作り手と受け手の距離をどう縮めるか」は大きなテーマです。The Chain Museumは、鑑賞ログとEC、そして空間プロデュースを横断することで、アートのトレンドを体験としてパッケージ化するプレイヤーと言えます。企業にとっても、オフィスや店舗での展示とオンラインコミュニティを接続する際のパートナー候補になり得る存在です。


3. 変わりつつあるアートの潮流と、これからの企業にできること

世界的には、オンラインビューイングルームやブロックチェーン証明、アートを含むオルタナティブ投資など、アートマーケットのデジタル化と多様化が進んでいます。日本でも、ここで紹介したようなスタートアップが、市場・空間・コミュニティのそれぞれのレイヤーから構造を少しずつ変え始めています。

企業の総務・人事・広報の立場からは、「どの1社を選ぶか」よりも、まず自社にとってアートを導入する意味を整理することが出発点になります。採用、ブランディング、ウェルビーイング、地域連携など、期待する役割が定まれば、自然と相談すべきプレイヤーの候補も絞れてきます。

アート トレンドの最前線にいるスタートアップが何を目指しているのかを知ることは、自社のこれからの働き方とカルチャーを考えるうえでのヒントになります。まずは社内で話題にしてみることから、次の一歩を検討してみてはいかがでしょうか。

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