ミューラルアートとは?日本の注目事例まとめ【2026年最新】駅・街・企業のアートを一気に解説
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街を歩いていて、ふいに大きな絵と目が合う――そんな瞬間が、この数年で一気に増えました。
駅のコンコースや再開発地区の壁、企業オフィスのエントランスまで、さまざまな場所でミューラルアートの事例が広がっています。
はじめまして。ミューラル(壁画)制作・企画を10年以上続けてきた、壁画事業代表の平山美聡です。
この記事では、日本でミューラルアートを見られる代表的なスポットと、2026年時点の最新動向を、できるだけ実務目線で整理してご紹介します。
ミューラル(壁画)に興味があったり、企業で空間づくりを任されている方が、「まずはどんな壁画があるのか」「自社で導入するとしたら、どのタイプが近いか」を考えるための地図としてお読みいただければ幸いです。
目次
1. ミューラルアート(壁画)とは?
シンプルに表現すれば”大きな壁に直接描かれた絵”のことを指します。キャンバス作品の展示ではなく、建築の壁そのものと一体になった「壁画」と考えるとイメージしやすいと思います。

日本では長らく、駅の大壁画や公共施設のモザイクが中心でしたが、ここ10年ほどで商業施設やオフィス、街区の再開発プロジェクトにもミューラルアート(壁画)の事例が増えてきました。背景には、フォトスポットとしての発信力や、地域性・企業ビジョンを視覚的に伝えられることがあります。
本記事では、こうしたミューラル(壁画)のうち、移動中や仕事の合間に出会える事例を中心に、「駅」「街」「建築」の3つのシーンに分けて見ていきます。
2. 駅で出会うミューラルアート(壁画)の事例
駅は、ミューラルアートの事例がもっとも分かりやすい場のひとつです。毎日多くの人が通り、遠くからでも視認できる大きな壁面があるため、壁画が「その駅らしさ」や「街の顔」をつくる役割を担います。
戦後を代表する上野駅のミューラルアート(壁画)

戦後日本を代表するモザイクミューラル 猪熊弦一郎《自由》
JR上野駅中央コンコースにある猪熊弦一郎のミューラル(壁画)は、1951年に制作された日本を代表するミューラルアートのひとつです。高さ約3メートル、幅18メートルのモザイクタイルで構成され、戦後の「自由」や希望を抽象的な図形と色面で表現しています。
戦後まもない時期に、巨大な現代美術作品を駅の正面に据えた例は珍しく、今でも「上野と言えばこの壁画」と記憶している利用者も多い存在です。美術館の多い上野の街にとって、日常とアートをつなぐ原点のようなミューラル事例と言えるでしょう。
上野駅(JR)公園口連絡通路|上野公園へ続く通路に施されたアート

アーティストGaku Igarashi ※2025年6月時点
同じ上野駅でも、公園口改札内の連絡通路では、より現在進行形のミューラルアートが展開されています。JR東日本「東京感動線」が手がけた「山手線ミュージアム」プロジェクトの一環として、アーティスト Gaku Igarashi の壁画が設置されました。
幅約8メートル、高さ約2メートルの壁画は、流れるような線と色面で、上野周辺の自然や文化を抽象的に描き出しています。通路という「ただの移動空間」に、思わず立ち止まりたくなる視覚的なフレームが加わることで、「駅でミューラルアートを鑑賞する」という新しい体験が生まれています。企画・制作には、オフィスアートや壁画制作を手がけるNOMAL ART COMPANYが参加しました。
航空公園駅(西武)|ホームを街の“顔”にしたミューラルアート
西武鉄道線では「SEIBU BLUE ARTSTATION」のプロジェクトの一環として、複数の駅に国内外の現役ミューラル(壁画)アーティストが参画しました。

西武新宿線 航空公園駅|ARTIST WHOLE9

西武新宿線 航空公園駅|ARTIST unomori

西武有楽町線 新桜台駅|ARTIST ARETHA BROWN

池袋線 武蔵藤沢駅 | ARTIST OZ-尾頭-山口佳祐

池袋線 武蔵藤沢駅 | ARTIST OZ-髙橋 洋平
駅という日常的な場所でありながら、アートがあることで「乗り降りのたびに少しだけ気持ちが変わる」体験が生まれます。プロジェクト全体のアートディレクションにはNOMALARTCOMPANYが携わり、地域の歴史と駅利用者の動線を踏まえた設計となっています。
渋谷駅(JR)|岡本太郎《明日の神話》の迫力

岡本太郎の巨大壁画《明日の神話》
JR渋谷駅と京王井の頭線をつなぐ連絡通路に設置された、岡本太郎の巨大壁画《明日の神話》も、代表的なミューラルアートの事例です。縦約5.5メートル、横約30メートルのキャンバスに、原子爆弾の爆発と再生をテーマにしたダイナミックな構図が描かれています。
メキシコで制作された作品が、長い時間を経て渋谷駅に恒久設置された経緯も含めて、「駅で芸術作品と出会う」象徴的な存在となりました。上野駅の《自由》と合わせて見比べると、戦後から現代に至るまでの日本のミューラルアートの変化を感じることができます。
3. 街中で見られるミューラルアートの事例
街なかの壁画は、単体で終わらず、「歩き回る理由」や回遊性をつくる点が特徴です。ミューラルアートの事例が増えるほど、街歩きのルートや写真を撮るポイントが自然に増えていきます。
ミカン下北沢|“更新される壁”が街のメディアになる

再開発エリア「ミカン下北沢」では、オープン当初から複数の壁面でミューラルアートが導入され、街の風景として定着しつつあります。アーティスト unomori が手がける壁画は、ポップな色彩と抽象的なモチーフで、下北沢らしいカルチャーの混ざり合いを表現しています。
ここで特徴的なのは、「完成して終わり」ではなく、一定期間ごとに上塗りや新作への更新が行われていることです。

別の期間ではARTIST JUURIによるアートが出現
NOMALARTCOMPANYが企画に関わったこのプロジェクトでは、制作中のライブペイントも含めて街のコンテンツとして扱われ、壁画そのものが“街のメディア”として機能しています。

TikTokとコラボしたアートが出現したことも
大阪のミューラルスポット|“壁画を見に行く”が街歩きになることも
大阪は、ミューラルアートの事例を目的に街歩きができるエリアが増えている都市です。北加賀屋では「クリエイティブセンター大阪」周辺に国内外のアーティストによる壁画が点在し、ギャラリーやカフェと合わせて巡ることができます。


ほかにも、中崎町やアメリカ村周辺では、再開発や店舗リニューアルに合わせてミューラルアートが導入されており、1〜2時間のコースでも複数の壁画を見て回ることができます。最近では地図アプリで「ミューラル」「壁画」などのキーワードを検索すれば、撮影スポットを効率的に巡るルートもつくりやすく、観光と日常のあいだにある新しい街の楽しみ方として注目されています。
4. 建築物に描かれたミューラルアートの事例
建築と一体となったミューラルアートは、駅や街中と同等以上に長い時間軸で扱われます。その分、建物のブランドや来訪体験に与える影響も大きくなり、企業や自治体は企業の節目やブランディングを意識した工夫を施しています。
いちご株式会社 新オフィス|サステナブルな未来を描くミューラル

プロジェクター投影と一体化するミューラルアート(壁画)| ARTIST小田佑二
不動産・インフラ投資などを手がけるいちご株式会社の新オフィスでは、「海辺」をテーマにしたミューラルアートが導入されました。アーティスト小田佑二が、波や植物、街の輪郭を抽象的なパターンとして描き、サステナブルな未来像をオフィスの壁一面に表現しています。
アートを起用すると、企業のビジョンを言葉ではなく「空間の雰囲気」として残すことができます。社員インタビューでは、「オンライン会議の背景としても使いやすい」「来客時の話題のきっかけになる」といった声も上がっており、ミューラルアートの事例として、ブランド発信と日常の働きやすさを両立させたケースと言えます。
都筑区民文化センター ボッシュホール|公共空間で、余韻として残る壁画

画家 山下良平による大きな壁画

「都筑区民文化センター(ボッシュ ホール)」のホワイエ
横浜市都筑区にある「都筑区民文化センター(ボッシュ ホール)」のホワイエには、画家・山下良平による大きな壁画が設置されています。幅約12.6メートル、高さ約3メートルのキャンバスに、抽象化された人物や風景が連続的に描かれ、コンサートやイベント前後の「待つ時間」を豊かにする役割を担っています。
このプロジェクトでも、NOMALARTCOMPANYがアートディレクションを行い、避難導線や設備類の位置といった建築側の条件を踏まえながら、公共ホールにふさわしい色調とモチーフのバランスを調整しました。ミューラルアートの事例として、幅広い年齢層の来訪者に開かれた「公共空間での壁画」がどのように空気をつくるかを示すケースです。
5. まとめ|ミューラルを「見に行く」と、街が少し変わって見える
ミューラルアートは、ただの装飾ではなく、「駅」「街」「建物」といった場所の記憶を育てるための装置でもあります。上野や渋谷のような駅の壁画から、ミカン下北沢や大阪の街なか、企業オフィスや公共ホールまで、ミューラル(壁画)の事例を意識して見てみると、いつもの移動ルートが少し違って見えてきます。

複数のアーティストによって手がけられた、西武新宿線 航空公園駅の日常の様子
まずは、職場や自宅の近くで見られる壁画を一つ探してみるところから始めてみてください。そのうえで、「自社にもこうしたミューラルアートの事例を取り入れるとしたら、どのタイプが合うだろう?」と社内で話題にしてみると、空間づくりやブランドの議論が自然に深まっていきます。
NOMAL ART COMPANYでは、こちらの記事で紹介したような駅・街・オフィスの壁画制作のほか、企業オフィスのアート導入事例を複数公開しています。より具体的なイメージを持ちたい方は、制作実績集(works)もあわせて参考にしていただければと思います。
お気軽にお問い合わせください。


