会社”らしさ”を空間で伝える。中小企業のためのオフィスブランディング
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目次
「会社らしさ」ってどこに出ると思いますかー
「名刺?ロゴ?それともWebサイト?」
もちろんどれも大切ですが、社員が毎日働く場所、つまりオフィスこそが会社の「顔」になることも少なくありません。
実は最近、多くの中小企業がオフィスそのものをブランド戦略に活かし始めています。それが「オフィスブランディング」という考え方です。
大企業だけの話ではありません。むしろ“らしさ”や温度感を武器にしたい中小企業にこそ、この手法は向いています。
オフィスブランディングとは
簡単に言えば、「自社らしい空間づくり」を通じて、企業の価値や文化を伝えること。
例えば、社内の壁にミッションやビジョンを描いたアートを取り入れる。あるいは来訪者が一歩足を踏み入れただけで、「この会社、なんかいいな」と感じるような雰囲気を演出する。これらがオフィスブランディングです。
単なるインテリアの話ではなく、社員のモチベーションや採用力、そしてお客様への印象にも関わる大切な経営戦略のひとつです。
中小企業が空間に投資する意味とは
「本当に、今オフィスにお金をかけるべきなのか?」
これは、総務やワークプレイス担当者が最もよく耳にする言葉です。特に中小企業にとって、オフィス空間への投資は、決して軽い判断ではありません。採用、広告、設備投資…優先すべき項目が多い中で、一見“贅沢”にも見えるかもしれません。
ここからは“小さな会社”だからこそ、ここに投資し、空間の持つ力を最大限に活かすべき理由を事例をまじえて解説していきます。
小さな空間が、「企業の顔」になる
たとえば、研究開発プラットフォームとして、研究開発者様向けの幅広いサービスを展開している、静岡県浜松拠点のテガラ株式会社では、新社屋のオープンに伴い、受付にシンボルとなるアートを導入しました。
描かれているのは、「螺旋状に成長していく」会社のビジョン。大きな山を少しずつ登っていく螺旋状の道。
その道の途中には、研究に没頭する人、誰かを助ける人、地図を見る人、などさまざまな人が存在します。そして到達した頂上からは、まだ見ぬ未来に向かって飛ぶロケットが。 「研究の歴史とは人の歴史でもある」というテガラ様の想いがこもったデザイン。よく見ると、テガラさんに関連するロボットやパソコンのモチーフも。

社員の方も一緒に制作
このアートには、“企業の哲学”が込められています。
この会社では、外部のパートナーが来社した際に、その絵の前で自然と会話が始まるようになりました。
「この絵、どんな意味なんですか?」
——それは単なる雑談ではなく、自社の価値観やビジョンを伝える貴重なブリッジになっているのです。
オフィスブランディングがもたらす3つの効果
1. 社員のエンゲージメントや創造性が高まる
日々働く空間の雰囲気やデザインは、想像以上に社員のモチベーションや心理に影響を与えます。
たとえば、企業理念やビジョンを反映したデザインや、働きやすさに配慮した動線・照明・素材選びなどは、ただの“見た目”ではなく、企業文化を体感できる空間づくりとして機能します。
また、オフィスブランディングを行う際に社員を巻き込んだ設計プロセスを取ることで、「このオフィスは自分たちがつくった」という当事者意識が生まれ、愛着や主体性の向上にもつながります。
結果として、エンゲージメントの向上や創造的なコミュニケーションが生まれやすくなります。
2. 採用ブランディングとして「会社らしさ」を空間で伝える
オフィス空間は、求職者にとっての“企業の第一印象”となる場です。
理念や制度の説明だけでは伝わりきらない「この会社、なんかいいな」「一緒に働いてみたい」と感じてもらうためには、言葉以外の要素が非常に重要になります。
たとえば、受付エリアに企業のミッションが自然に視覚化されている、リラックスできる休憩スペースが整っている、チームワークが生まれやすいレイアウトになっている——
そんな“場の設計”そのものが、会社の価値観やスタンスを伝えるサインとなります。
オフィスの雰囲気が入社の決め手になった、という声は少なくありません。
3. 来客や外部パートナーに与える印象が大きく変わる
商談や取材、面談などで企業を訪れる外部の人々は、プレゼン資料よりも先に「空間の雰囲気」から企業を判断していることが多いものです。
整った受付、洗練された会議室、チームの働き方が可視化されている執務エリア。
こうした要素は、企業としての信頼性・創造性・柔軟性を“言葉に頼らず”に伝える装置になります。
特に中小企業にとって、「なんだか印象に残る」「他と違う」という評価は、大きな競争優位につながります。
空間を通じて「他社とは違う“らしさ”」を体感させることができれば、それはPR施策以上の効果を発揮する可能性があります。
オフィス×アートという選択肢
では具体的に、どんな手法があるでしょう。オフィスブランディングにはさまざまな手法があります。
ロゴの刷新、空間設計、ユニフォームやツールの統一……その中で、いま注目されているのが「アートの導入」です。
アートといっても美術館に飾るような高尚なものばかりではありません。社員の思想をモチーフにした壁画や会社の理念をビジュアル化したイラストなど、親しみやすくメッセージ性のある表現が可能です。
弊社では300名以上のアーティストと連携し、企業ごとの想いや課題に合わせた“オーダーメイドのアート”を制作しています。
「アートってよく分からない…」という企業さまこそ、ぜひご相談いただきたいと思っています。
事例紹介
イントリックス株式会社|「ビジョンやミッションの浸透」を目的に、2回のワークショップを経て仕上げた羽ばたく希望のアート
「10年後のイントリックス」を描く、社員参加型のプロセス
アーティスト・吉澤舞子氏との協働で行われたワークショップでは、「イントリックスの10年後」や「未来への願い」について、社員一人ひとりの言葉を紡ぎ出す対話の場を複数回開催。

装飾の際は社員も参加。「図画工作みたい!」と和気藹々と楽しみながら参加する社員たち。
抽象的であっても確かに存在する、イントリックスならではの価値観や空気感を、羽ばたく形象で表現したウォールアートが誕生しました。
完成した作品は、横幅8.3m、高さ2.6mという圧巻のスケール。執務スペースの中心に配置され、毎日の行き来の中で、自然と社員が理念と出会う設計となっています。
「投資対効果が非常に高かった」──経営トップの実感
この取り組みについて、代表取締役の谷口マサト様は次のようにコメントしています:
「想像以上に社内外へのインパクトがありました。投資対効果という意味でも非常に良かったと感じています。」
MVVの浸透施策としての有効性はもちろん、来訪者への企業理解促進、社員のエンゲージメント向上、そして“共創した空間”に対する誇りの醸成。
単なるアート導入ではなく、戦略的なオフィスブランディングとして確かな成果を生んだ事例となりました。
株式会社QUICK|社員と共につくり上げた、光と糸が紡ぐ「未来への森」
オフィス移転を機に、株式会社QUICKでは「次の50年のQUICKをどう表現するか」という大きなテーマのもと、社内にブランディングチームを発足。その取り組みの一環として、オフィス空間に企業の理念や文化を反映させることを目指しました。
金融情報サービスを中核とする株式会社QUICK様。長年にわたり蓄積された信頼と堅実さから、社外の方には「まじめで硬い会社」というイメージを持たれがちです。しかし実際の社内では、データサイエンスやDX推進、新規事業開発など、変化と挑戦にあふれる活気あるカルチャーが息づいています。
その“ギャップ”をどう伝えるか——そこで活用されたのが、オフィス空間に導入したアートでした。

絶妙な糸の色彩や素材として活用されているアクリル板の輝きが、立体的に壁を彩ります。
来客や採用面談時には、担当者が作品の前でその背景や意味を説明することで、
「想像よりずっと柔軟で面白い会社ですね」
「挑戦的な仕事ができそう」
といったポジティブな反応を引き出しています。
オフィスに“らしさ”を宿すために、最初の一歩をどう踏み出す?
ここまで読んで「オフィスブランディングってなんだか面白そうだな」と感じていただけたなら、次に気になるのは“具体的にどう始めればいいのか”というところかもしれません。
難しく考える必要はありません。流れはシンプルです。
特別な知識や美術のセンスは必要なく、自社を見つめ直す少しの時間さえ捻出すればオフィスブランディングは遂行できます。
まずは「言語化」から始める
オフィスを刷新する時、多くの企業が最初に取り組むのが「うちの会社って、どんな空気を大事にしてる?」という価値観の棚卸しです。
実際にNOMALARTCOMPANYでは、アートを検討する段階で、役員や若手社員を交えたワークショップを実施しています。
どんなアートが会社にあったら理想的か?
「かっこよさよりも、人の温かさを感じてほしい」
「カラフルすぎると落ち着かない」
——まずは頭の中で各自が考えていることを言葉に変えて見ることからはじめていきます。
実際に言葉に出してみると、チームメンバーそれぞれで全く違うことを考えていたり、思いもよらないメンバーから、想定外のアイディアがでることも多々あり、言葉にしてみることの重要性を感じます。
言葉にならない“理想”を見える化する
「木のぬくもりがほしい」「パキッとした色づかいは避けたい」
イメージは、最初は“ふわっと”したもので構いません。

メンバーがディスカッションした内容をもとにアーティストが世界観を描きました
私たちは、他社事例や参考作品をもとに、そうした漠然とした理想をアーティストとともに具体的な空間設計に落とし込んでいきます。
最大の壁「社内合意」を乗り越えるスモールステップを設計する
オフィスブランディングを進める際、最も大きなハードルとなるのが「社内合意の形成」です。特に中小企業では、限られた予算やリソースの中で、オフィスへの投資が本当に必要なのかという疑問が生じやすいものです。
この課題を乗り越えるためには、以下のようなアプローチが有効です:
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目的の明確化:オフィスブランディングの目的や期待される効果を具体的に示すことで、関係者の理解を得やすくなります。
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関係者の巻き込み:役員や各部門のリーダーを含めたワークショップやディスカッションを通じて、プロジェクトへの参加意識を高めます。
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段階的な導入:小規模な改善から始め、効果を実感してもらうことで、徐々にプロジェクトへの支持を広げていきます。
必要なステップは会社の事情やその時々の予算編成によって異なりますが、いきなり大きな予算を確保する前に、「オフィスの未来を考えるワークショップからはじめてみる」など、小規模予算でできるスモールステップからはじめてみることで関係者を巻き込みやすくなります。
初期段階から相談できるパートナーを見つける
やりたいことがふわっとしている段階でも、壁画やオフィス設計のパートナーと連携することは可能です。
話がまとまっていない、予算が決まっていないなど条件があったとしても躊躇う必要はありません。空間づくりのプロの視点からオフィスの改善点を指摘してもらったり、社内調整のためのワークショップを設計してもらうなど必要なサポートを効率的に得ることができます。
初期段階から制作プロセス全体をパートナーと共有することができれば、その企業が本来やりたいことを正確に理解し、スムーズに進行することができます。
その会社らしさ、ちゃんと伝わっていますか?
会社案内やWebサイトには、理念や事業内容が整然と並んでいます。でも、本当の“会社らしさ”は、そうした「狙いと構成」によって整えられた言葉だけでは語りきれないものです。
ふとしたときの空気感、日常に漂う価値観、そこにいる人の熱気やユーモア—
それらを最もリアルに伝えてくれるのが、働く人たちが日々を過ごす“オフィスという空間”です。
御社の“らしさ”は、きっとすでに存在しています。
あとは、それをどう”魅せる”か。
その力を最大限に引き出すために、私たちはアートという手段を提案しています。
NOMALARTCOMPANYは、空間を使ったアートを一緒に考える伴走パートナーです。
「伝わる空間」づくり、ぜひ一緒にはじめてみませんか?
お気軽にお問い合わせください。