オフィスの壁は、来客や社員が最初に受け取る印象を左右します。オフィスにアートのパネルを導入することは、工事負担を抑えながら場の雰囲気を整える現実的な方法です。まずは受付や会議室など、目に入りやすい一面から始めると、写真や動画の見え方も自然と改善します。小さく導入して、運用しながら差し替えていく―この身軽さがアートパネルのメリットです。
アートパネルの場所別のコツ、サイズ設計(廊下/受付/会議室/ファミレス席)
場所別にどんなアートを飾るのが適切か、例を元にご紹介していきます。
目次
まずはじめにブランクスペースの多い廊下。歩きながら眺める人が多いので、横長で少し大きめの1~2点がおすすめです。連作にすると流れができます。

受付は会社を象徴する場所ですし、撮影背景にもなることも。胸~頭のフレーミングに収まるサイズがおすすめです。受付の品格を演出する上でアクリル+間接照明は相性が良いです。

着席距離に合わせ、キャンバスの2~3点連作で視線のリズムをつくるのもおすすめです。青~緑系で落ち着きをもたらしたり、会議室ごとに配色を変えても部屋ごとのアクセントになりオフィスにリズム感をもたらします。

最近のオフィスに多い「ファミレス席」ここには、背面に印象の強い1点を置くと、凡庸的になりがちなファミレス席にも意匠感がUPします。

価格はサイズ・素材・仕上げで変わります。技法やサイズで幅があります。
30 × 30cm:¥5,000〜¥15,000
45 × 45cm:¥8,000〜¥20,000
60 × 60cm:¥12,000〜¥30,000
60 × 90cm(A1相当):¥20,000〜¥60,000
90 × 90cm:¥30,000〜¥80,000
90 × 120cm:¥40,000〜¥100,000
100 × 150cm:¥60,000〜¥150,000
120 × 180cm:¥90,000〜¥250,000
※上記はフレーム入りポスター〜一般的なパネルの広いレンジ感です。素材・仕上げ・点数で前後します。
取り付け:1箇所 ¥10,000〜¥40,000 程度
照明(ウォールウォッシュ等):器具+工事で ¥20,000〜¥60,000/箇所 程度
額装や表面保護:¥5,000〜¥30,000/枚 程度
既製品は短納期・低コストで雰囲気を整えるスモールスタートに最適な既製品の購入ができるサイトをご紹介します。
アート&フレーム(額装一体で選べる)
ポスター/キャンバス/アートパネルまで幅広く、フレーム選択→額装までオンラインで完結。オフィス向けカテゴリがあり、サイズ別の検索もしやすいです。
楽天市場「アートパネル」カテゴリ(比較検討・納期が読みやすい)
価格帯やレビューで横比較しやすいマーケットプレイス。短納期の既製品やセット商品を探すのに便利です。
WASABI(キュレーション型・作品数多)
作家性一点ものも多く取り扱いがあり、作品のテイストやサイズ、色で絞り込みしやすく、オフィス向けの落ち着いたアートも多いです。相談・合成モックの案内もあり、初導入に向いています。オーダーアートも1点から依頼できることが特徴です。

額装と光は見え方を大きく左右します。細めの金属フレームや落ち着いた木口は、素材感を上品に引き立てます。ダウンライトの直当てで反射が気になる場合は、ウォールウォッシャーや間接照明に切り替えると面が均一に見えます。掲示物との距離や高さを整え、視覚ノイズを抑えると、アート パネルがより自然に馴染みます。
壁の下地と耐荷重を確認し、重量に合ったアンカーとビスを選定します。来客エリアでは防炎適合素材や難燃仕様にすると安心です。指紋や埃が目立つ素材はマット仕上げや保護フィルムで対策し、清掃手順も簡単に決めておきます。取り付けは、安定性の高いビス固定、位置調整が容易なピクチャーレール、穴あけを最小化できるマグネットやマジックテープなどから、原状回復の規定に合わせて選びます。差し替えたパネルは専用スリーブに入れ、温湿度が安定した場所で保管できると安心です。専用スリーブがない場合には、プチプチとした緩衝材で巻いておくだけでも効果がありますよ。サイズや素材、設置位置、清掃履歴の台帳を残しておくと、翌年の計画が立てやすくなります。
受付では、ロゴ壁の脇にアクリルの一枚を置き、ライトでやわらかく照らします。象徴的なモチーフを添えると、会社像が名刺のように伝わります。

会議室では、キャンバスの2〜3点連作で視線にリズムが生まれ、意見が出やすくなります。青〜緑系で余白を多めに取ると、落ち着いた空気が演出できます。

通路にはアルミ複合板とピクチャーレールを組み合わせ、四半期ごとに差し替えることもできます。受賞歴やプロジェクト年表、地域連携の写真をシンプルに見せると、動きのある通路になります。

主に次の4経路があります。目的と納期で選ぶと迷いにくいです。
オンラインのアートマーケット:既製のポスター/キャンバス/パネルをサイズ指定で購入できます。納期が読みやすく、まず試すときに向いています。
出力・プリント工房(オンライン入稿):自社ビジュアルや写真をアクリル・キャンバス・アルミ複合板などに高精細プリント。受付や会議室の“意図に合う絵柄”を作れます。
額装店・フレーマー:紙ポスター+額装、キャンバスの張り込み・仕立てまでワンストップ。実物の質感確認やマット幅の微調整が可能。
ギャラリー・作家からの購入:一点物の原画や限定版プリント。象徴性が必要な受付や役員エリアに向いています。
迷ったら:受付=アクリル、会議室=キャンバス、通路=アルミ複合板(連作・更新重視)という出発点が無理なく進めやすいです。
“見栄え”だけに留まらず、業務の質に効く要素があります。
第一印象の整備:来客・採用候補者の導線で会社像を素早く伝えやすい(受付の撮影背景にも)。
対話の活性化:会議室での視線の逃げ場や話題のきっかけに。抽象連作は議論のリズムづくりに有効です。
ブランドの可視化:色域・モチーフで“らしさ”を常に共有でき、採用広報や社内浸透に寄与。
運用の柔軟性(パネル):季節・施策に合わせた差し替えで小さく早い改善が可能。
環境性(素材次第):ファブリックや吸音パネルは残響低減に効くケースも。
写真・動画の品質向上:発表・取材・SNS投稿時の背景として安定。
効果を測るなら:設備投資の意思決定用に「受付写真の露出数」「候補者アンケートの自由記述」「会議満足度」などの簡易KPIを先に決めておくと可視化しやすいです。
布張りの“ファブリックパネル(布地を巻き込んだパネル)”は、次の経路で入手できます。
インテリア量販/オンライン:既製の布張りパネルや、吸音材入りの製品をサイズ指定で購入。短納期。
出力・プリント工房(テキスタイル系):自社パターンや写真をテキスタイル印刷してパネル化。色校正や生地(キャンバス地/ツイル等)の選択ができ、オフィスの色味に合わせやすいです。
吸音パネルメーカー:吸音材+ファブリックの機能性製品。会議室や通話ブースの残響対策を兼ねたい場合に適しています。
額装・内装業者の別注:指定生地の持ち込みや、既存壁面に合わせた連作サイズなどのカスタム対応が可能。
注意点:防炎(防火)適合や防汚・撥水の有無、反射(マット)、重量と取り付け方式(ピクチャーレール/ビス/マグネット)を事前に確認しておくと、設置後の運用がスムーズです。

日本電気株式会社のオフィスアートの事例。社員とアーティストが共にシンボリックなアートを描く。
実は昨今ではアートパネルの需要が増えるに従い、壁に直接描く手描きアートも人気になってきています。
世界に一つしかない、その会社の、その時にいる人々だけが描けるアートの存在はPR、人材獲得、組織マネージメントなど様々な側面にじわりと効果を発揮します。
アートパネルでアートの良さや価値が見えてきた次のフェーズ、例えば周年記念やオフィス移転など会社の節目を迎えるタイミングで、手描きアートを検討する企業も増えてきているので、ご検討ください。
初期費用と運用費の考え方はウォールアート(壁画)制作の依頼方法は?費用は?100件以上導入した壁画のプロが解説に集約しています
いかがでしたでしょうか。まずは一つの壁から無理のない計画でアートパネルの導入を始めてみてください。
NOMAL ART COMPANY代表 平山美聡 オフィスアート専門家。慶應義塾大学環境情報学部卒。株式会社資生堂にて営業・広報を歴任する傍ら趣味で興じていたアートやアーティストを取り巻く環境に課題感を持ち、アート通販事業WASABIとBtoBオフィスミューラルアート事業を立ち上げ、現在では300人以上のアーティストコネクションを活かし100社以上のオフィスや公共施設へアートを導入。