共創(Co-Creation)とは?なぜ今、企業に「共創」が求められるのか。自前主義を脱し、多様な視点から新しい価値を創造する実践ステップ
- #オフィスアート
- #共創
- #共創アート
目次
1. 導入:なぜ今、ビジネスの現場で「共創」が叫ばれるのか
自社リソースだけでの事業創出に限界を感じている。 オフィスを新しくしたが、部署間のコミュニケーションは以前と変わらず形骸化している・・・
多くの総務担当者や新規事業担当者の皆さまから、このような壁に直面していると伺います。かつての成功モデルだった、自社だけで完結させる「自前主義」は、予測不能なVUCA(ブーカ)時代において、もはや通用しなくなっています。
▷VUCAとは?が気になる方は→VUCAの時代に必要な研修とは?をご覧ください。
多様化する社会のニーズに対し、単一の価値観だけで応え続けることは困難です。そこで今、世界中の企業が注目しているのが、共創(コ・クリエイション)という考え方。

本記事では、共創の正確な定義といった基礎知識はもちろん、私たちが現場で見てきた「組織が本当に変わる瞬間」のリアルな手触りを含めて解説します。
2. 共創(Co-Creation)の定義と市場動向
そもそも共創とは何を指すのでしょうか。
単なる「協力」との違い
経済産業省が2022年に公表した「企業による価値共創事業の実態調査」では、価値共創を以下のように定義しています。
「社会に変化をもたらす新しい価値を共に生み出す活動。そのために、画一的でない価値観を有する多様なステークホルダーと、共有された大きな目的のもと、創造的対話を継続的に実施する。」
ここで重要なのは、単なる外注(アウトソーシング)や作業の分担ではないという点。共創を支えるのは、顧客やパートナー企業、そしてアーティストなどの専門家といった多様な人々が、立場の違いを超え、フラットに意見を出し合う「創造的対話」そのものです。
日本企業の共創の現状とトレンド
現在、日本政府も官民挙げてこの「価値共創」を推進しています。背景にあるのは、日本企業の競争力を高めるためには、個社の枠を超えたオープン・イノベーションが不可欠であるという強い危機感です。直近では日米投資などの例にも挙げられる「国外との共創」も加速度的に求められており、この波は今後10年加速するでしょう。大手企業を中心に共創スペースの設置や異業種連携が加速しており、共創は「持続可能な経営のための標準戦略」へと変化しています。
3. 総務・新規事業担当者が向き合うべき「共創」の核心
共創は、外部と組むことだけが目的ではありません。担当者の皆さまにぜひ知っていただきたいのは、その土台となる「社内の共創」の重要性です。
最も難しく、最も価値がある「社内共創(Internal)」
オフィスアートに携わってきた私たちが10年以上現場を見てきて痛感するのは、外部と組む前に「社内の壁」に阻まれるプロジェクトがいかに多いかということです。 部署ごとのセクショナリズムや、上司と部下の遠慮。こうした見えない壁を溶かし、部署の垣根を超えた対話を生むこと。
オフィス環境の改善や社内イベントを通じて「何を言っても大丈夫だ」という心理的安全性を物理的に担保すること。 この「社内の土壌づくり」こそが、すべての共創の起点であり、私たちがアートを通じて最もお手伝いしたい領域でもあります。

その他の階層
-
顧客共創(Customer): 利用者を開発パートナーとして巻き込み、真のニーズを掘り起こす手段の一つとしても注目されています。共創という名前ではなくとも、「顧客とのコミュニティづくり」といった施策で展開している企業も多いです。
-
異業種・社会共創(External): 自社にない技術や、アートのような「感性」を持つパートナーと連携し、既存事業の延長線上にはないブレイクスルーを生む共創です。
5. 共創の実践事例:大手企業の「次なる一手」
日本を代表する企業から、共創ははじまっています。先駆的な事例をご紹介します。
-
-
背景と目的: 創業以来の志である「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題を解決する」というパーパスを、グローバルかつ多様な社員一人ひとりが自律的に体現することを目指しています。
-
取り組み: 独自の「共創モデル」を構築し、社内外のパートナーとの対話を通じて、社会価値と経済価値を共創するプロセスをプログラム化。
-
目指す世界: パーパスを単なるスローガンに留めず、個々の社員の熱意と社会課題を接続させることで、持続的なイノベーションが自然発生する組織文化の醸成を目指しています。
野村不動産:共創を誘発するワークプレイス戦略
-
背景と目的: 働き方が多様化する中で、オフィスの役割を「作業をする場所」から「創造的な対話が生まれる拠点」へと再定義する必要がありました。
-
取り組み: 「H¹O(エイチワンオー)」や「TOKYO BASE」といった拠点において、入居企業同士やスタートアップ、地域社会が混ざり合うための仕掛けを空間設計に導入。
-
目指す世界: 物理的な「箱」の提供を超え、異なるバックグラウンドを持つ人々が偶発的に出会い、新しいビジネスの種が生まれる「共創のエコシステム」の構築を掲げています。
トヨタ自動車:垣根なき工場と「共生・共桃」の精神
-
背景と目的: 効率と品質が最優先される製造現場において、地域社会との繋がりや働く人の人間性を再認識し、より開かれた工場組織への変革を模索しています。
-
取り組み: 工場などにおいて、地域住民や社員が交流できる「共生の場」を創出。したり、単なる生産性拠点としてではなく従業員同士の憩いの場や交流の場をオフィスデザインの観点から見直ししリフォームしています。
-
目指す世界: 「モノづくりは人づくり」という原点に立ち返り、現場の社員が誇りを持ち、外部の視点を取り入れる「ゆとり」や「遊び心」が共存する、次世代型の生産現場のあり方を追求しています。
-
6. 共創がうまれる環境とは?AI時代における「手触り感」のあるオフィスの価値
「さあ、共創しましょう」と号令をかけるだけでは、人は動きません。なぜなら、共創は「頭」ではなく「環境」で生まれるものだからです。

余白のデザイン:無機質な空間が奪うもの
白一色の壁、均一に並んだデスク。効率重視のオフィスは、一見作業に集中できるように見えますが、実は創造性を著しく削いでいます。人間は、適度な「ゆらぎ」や「遊び」がない空間では、既存の枠組みを超えた発想をしにくい。これは環境心理学でも指摘されている事実です。
アートがもたらす「非論理的な突破口」

エクセター大学の研究によれば、アートや植物で彩られた豊かなオフィスでは、生産性が15%向上し、幸福度も高まるというデータがあります。 しかし、私たちが現場で感じる効果は、数字以上のものです。例えば、普段は険しい顔で数字を追っているリーダーが、壁に描かれた一枚のアートを前に、ふと「これ、いいな」と呟く。その一言が、部下との会話のきっかけになり、そこから新しいアイデアが生まれる。 論理(左脳)だけで詰め寄るのではなく、感性(右脳)を刺激する環境を整えること。この「非日常の導入」が、凝り固まった組織の空気を劇的に柔らかくしていきます。
5. 共創を成功させるための実践ステップ
共創を形にするために、まずは以下の3ステップから検討してみてください。
Step1:目的の言語化(パーパスの共有)

「何のために共創するのか」という目的を明確にします。自社が社会に対してどのような価値を届けたいのか、その志を共有することが第一歩です。
Step2:心理的安全性の構築
これが最も重要です。失敗を許容し、未完成のアイデアを出し合える文化を醸成すること。まずは会議の進め方や、オフィスの「空気感」から変えていく必要があります。オフィスレイアウトを工夫するとともに、会議体のあり方やグランドルールを設計する企業も多く、人事、総務、ファシリティマネージメント側の人材が協議し、ある一定の権限を持つことが重要です。
Step3:プロトタイピング(小さな実験)
いきなり全社的な改革を狙う必要はありません。オフィスの一角をアートで変えてみる、数名の有志で対話のワークショップを行う。そんな「小さな実験」が、周囲を巻き込む大きな渦へと育っていきます。一つの成功体験から創出していきましょう。
6. 共創は「効率」ではなく「可能性」への投資
共創のプロセスは、自社だけで完結させる効率的な仕事に比べれば、正直、時間がかかります。意見の食い違いも起きるでしょう。 しかし、短期的な効率に走らず、中長期的な組織の「文化」を作ることに投資すること。それこそが、今、日本の企業に求められている決断ではないでしょうか。
自社だけで完結させない勇気を持つこと。 それが、次の10年を生き抜くための揺るぎない土台になります。
あわせて読みたい: 共創アートって何? 会社の壁を溶かして会話を増やすオフィスのつくり方 ※NECなどの最新事例を交え、アートがどう組織を変えるのかを具体的に紹介しています。
お気軽にお問い合わせください。


